[Job_Description]

IIJエンジニアリングの仕事

モータースポーツ
通信環境改善
プロジェクト

プロジェクトストーリー

PROJECT STORY

DXでモータースポーツの
次世代観戦体験を創出!

アジア圏最高峰のフォーミュラーカー・レースであるスーパーフォーミュラは、DX化に挑んでいます。その象徴といえるのが、ネットワーク経由でオンボード映像までリアルタイムに観戦できるアプリ『SFgo』。しかし、地方のサーキットには大手通信キャリアの基地局が少なく、観客が多く集まると十分な通信品質を確保できないという課題があります。そこで白羽の矢が立ったのが、IIJエンジニアリングです。ミッションは、限られた予算内でサーキットの通信環境を改善し、観戦体験を向上させること。国内初のプロジェクトに挑む二人のネットワークエンジニアが、その舞台裏を明かします。

MEMBER

  • M.Y

    1999年入社(中途・キャリア)

    M.Y

  • H.O

    2000年入社(新卒)

    H.O

Theme 01

まずはプロジェクトの経緯を教えてください。

H.O

スーパーフォーミュラには、『SFgo』というレース視聴サービスがあります。これを使うと、スマホやパソコンでリアルタイムにレース映像を視聴することに加え、各ドライバーの操る車両の速度やタイヤの温度・位置情報、操作しているステアリング・アクセル・ブレーキの踏み込み具合といったデータを見たり、レース車両に搭載したオンボードカメラでドライバー視点の映像やピットとの交信無線を楽しむことができます。

ところが多くのサーキットは都市部から離れた人口の少ない立地にあるため、携帯の通信キャリア網の収容能力が低く、レース期間中に2~5万人もの観客が詰めかけると通信速度が低下してしまいます。現状ではオンボードの映像伝送にも大手通信キャリアを利用しているため、『SFgo』の映像品質も低下してしまうという問題がありました。

まずはプロジェクトの経緯を教えてください。

M.Y

この課題を解決するためには通信キャリアとは別に、専用のネットワークインフラをサーキットに設置するしか無いと考えています。実は、レース運営を行う事務局の通信環境の向上や、運営に携わるスタッフのコミュニケーションにも携帯の通信キャリア網を利用しているため併せて改善検討を進める必要がありました。これらを、レースの運営元であるJRP(株式会社日本レースプロモーション)様から依頼されたのが、我々IIJエンジニアリングというわけです。当社には、歴史あるIIJグループの一員として「ネットワークに強い企業」という信頼があります。また、私自身がスーパーフォーミュラの大ファンということも一因となり、ITソシューションパートナー契約を結ぶに至りました。

プロジェクトが本格的に動き出したのは、2022年の6月頃。私が責任者となり、H.Oを含む数名のエンジニアで携わることが決まりました。まずは各サーキットに出向いて通信環境の現状確認と同時に、専用ネットワークを構築する上での候補となる通信規格を探すところからスタートしました。

まずはプロジェクトの経緯を教えてください。
まずはプロジェクトの経緯を教えてください。 まずはプロジェクトの経緯を教えてください。

Theme 02

プロジェクトで直面した課題と、それをどう乗り越えたか教えてください。

M.Y

正直に言って、このプロジェクトにとっての最大のハードルはコストです。レースが開催される日程は限られているため、サーキットに設置するアンテナや光ファイバーといったネットワーク設備は、常設しても利用用途が限られ採算が合わないため、レース開催期間のみ設置が可能なものでなくてはなりません。実はF1もレース開催期間に合わせてオンボード映像集信用にネットワークを独自構築して安定配信できているため、同じ構成を採用するれば実現することは可能ですが、F1と同等の費用をかけることは難しいため、ローカル5Gという規格を使って挑戦することにしました。さまざまな制約の中でサーキットをDX化するという、日本で前例のない挑戦です。

プロジェクトで直面した課題と、それをどう乗り越えたか教えてください。

H.O

最高速度が300km/時を超えるレースカーからの映像伝送は容易ではありません。しかも、サーキットは高低差がとても大きく複雑な地形をしており、電波を隈なくコースをカバーする必要があります。サーキット特有のノウハウが多数必要になります。

M.Y

プロジェクトを進める上でまずは現状把握ということで、全国のサーキットごとの通信環境を一から調査から始めました。サーキットは非常に広大で、たとえば鈴鹿サーキットの面積は205万㎡と東京ドームの44.5倍。コース長にして約5.8kmもあるため全体像を把握するためには、実際にレンタカーでコースを走行しながらデータを収集しましたそこから持ち帰ったデータを元に、自作したツールで各携帯キャリアの電波状況を可視化しました。

プロジェクトで直面した課題と、それをどう乗り越えたか教えてください。

H.O

ツールを作成してくれたのは、私たちのチームに所属しているソフトウェアエンジニア達です。彼らは、計測されたデータをコースマップにマッピングするツールを開発してくれました。これによりアンテナ位置と電波との相関関係を把握することが出来たため、コースのどの箇所にどの程度アンテナを立てれば良いかといった設計の参考情報を作ることができました。余談ですが、仕事でコースを走れて大変うれしそうでしたよね。

M.Y

はい、とてもうれしかったです。私は、特に若い頃は自費でサーキットの走行会に何度も参加しており、観客としても全国のサーキットを長年見てきたため、コース毎の特徴や形状までよく知っています。テレビとかゲームで見るとわかりにくいのですが、コースの中には「ジェットコースター・ストレート」と呼ばれるぐらい急な坂もあったり、見通しの悪い場所も多い。あらかじめ電波の悪い箇所をデータとしても可視化できたことは、今後、のアンテナ設計に役立てることができると思います。

プロジェクトで直面した課題と、それをどう乗り越えたか教えてください。 プロジェクトで直面した課題と、それをどう乗り越えたか教えてください。

Theme 03

プロジェクトの現状と、お客様からの評価について教えてください。

M.Y

現在もプロジェクトは進行中で、これからいよいよサーキットの一部に検証機器を設置して、設計通りの通信ができるかの実証を計画しており、まずはこれを成功させることに全力を注ぎたいと考えています。
並行して、コース全体をカバーする際のコストを抑えるため、アンテナの設置数を減らすための効率的な設計や、アンテナそのものの設置コストを抑える工夫が必要になると考えています。基本的にアンテナはレース開催に合わせて仮設置し、レース終了後は撤去して次のサーキットへ運搬することになると思います。
機材調達コストだけでなく、設置と撤去の費用や運営も含めたコストを管理する必要があります。

H.O

私もこれまでたくさんのネットワーク構築を経験してきましたが、基本的に空調の効いたサーバルーム内での構築でした。しかし、今回は屋外で夏のサーキットの路面温度は50℃にもなる環境です。雨も降るし、電源も少ない。「過酷な環境に耐えうる設備を運用していく」という新しいミッションに挑むことは、大変チャレンジングだと感じています。

FSC-EV立ち上げ後の反響と、その後の展開について教えてください。

M.Y

お客様であるJRP様からのご評価をいただくのは、まだ少し先になるとは思います。しかし、オンボード映像の品質向上の実証実験まで、あと一歩という段階に来ていることにはご期待いただけていると感じますし、一刻も早く目に見える形で成果を出したいと考えています。

FSC-EV立ち上げ後の反響と、その後の展開について教えてください。

Theme 04

このプロジェクトを通じて得たものや、今後への抱負をお願いします。

M.Y

私は30年以上も前からモーターレースが大好きだったので、全国のサーキットに出張し、爆音の中で仕事できるのはものすごく幸運だと思います。同僚からも「仕事じゃなくて遊びに行ってるんじゃないの?」と冷やかされたりするのですが、実際にそれぐらい楽しいです。もっとも、過去にビジネス向けのネットワーク構築をしていたときも、私やH.Oはなぜか「あの二人はいつも楽しそうに仕事している」とみんなに言われていたのです。

このプロジェクトを通じて得たものや、今後への抱負をお願いします。

H.O

仕事が楽しいかどうかは、本人の気の持ちよう次第ということにしておきましょう。私はもともとモーターレースのファンではありませんが、何度もサーキットに足を運び、命がけでレーサーたちが走っている姿を見るうちに、「レーサーとファンのために、通信環境を改善してあげたい」という思いが強くになりました。IIJエンジニアリングは規模も大きくなり、お堅いイメージを持っている人もいるかもしれませんが、やりたいことを発言できる社風があると思います。私たちの仕事を見て、他の社員にも面白がってもらえたり、何か企画を温めている人が発言するきっかけになればと考えています。

M.Y

これまでのIIJグループは、IT業界ではよく知られているものの、一般の方が社名を目にする機会が少なかったと思います。ところが、『SFgo』のヘルプデスクやサーキットのプロジェクトを手掛けるようになってからは、スーパーフォーミュラの大会の表彰台をはじめ、さまざまな場所にロゴマークが掲げられるようになりました。この仕事を成功させて、IIJグループのブランド力をさらに向上できればと思います。

このプロジェクトを通じて得たものや、今後への抱負をお願いします。

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